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AI時代だからこそ高まるデータマネジメントの重要性|全3回(第1回)

大西 浩史

AIの活用が広がる中、その前提となる「データ」の重要性が改めて注目されています。本連載では、AI時代に求められるデータマネジメントについて3回に分けて解説します。第1回では、その重要性が高まっている背景を見ていきます。

1. はじめに

  「情報(データ)は、ヒト・モノ・カネと並ぶ第4の経営資源」と言われて久しい。また、「データは21世紀のオイルである」といった言説も以前から広く知れ渡っており、「データの重要性」について否定する経営者はほぼ皆無になっていると思われるが、今ひとつ「データを活用してビジネス効果を実感している」という手触り感を持てていない経営者が多いのではないか。

 一方、2023年頃から世界的なブームとなったChat-GPTの登場からAI技術の加速度的進化と普及により、その学習対象となる「データ」の重要性、より正確に表現すると「ハルシネーションを起こさず、AIが正しく理解・学習できるマネジメントされた社内のデータ」の重要性に対する認識がかつてないほど高まっている。その重要性の高まりと連動した日本政府の動きをまず見てみよう。

 

2. 「AI Ready」の前提としての「データマネジメント」

  「Society5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会報告書を踏まえた検討状況について(経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 デジタル人材政策室[2026年4月13日])[1]」では、「データ・AI活用の推進に向けて、まずは企業内に散らばるデータの探索、収集、抽出等を担い、正しく安全なデータの管理・活用を推進するデータマネジメントが不可欠」であるとされ、「高度にデータ・AIを使いこなすためには、加えてAIが理解しやすい高品質データ等の要件を満たすため、データを意味・関係性付けするデータ精製等のAI-Ready化が必要」と明記されている。下図のように、「AI Ready化」の前提として「データマネジメントの取組」が位置付けられる。

 

 (図表1)AI Ready化の前提としてのデータマネジメント

  加えて、日本の大学の多くに「データサイエンス学部」が設置され、着実に若いデータサイエンティスト人材が社会に輩出されるようになったにもかかわらず、企業・組織でのデータ活用の重要性が増す一方で、データ活用に不適切なデータが生産、流通する状況が散見され、データ品質の問題によりデータサイエンティストが本来持つスペシャリティを発揮できていない、という政府の課題認識があった。そのため、企業・組織でデータを有効活用するためには「データを活用可能な状態に整備・管理する人材の育成が急務」として、経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は第1回(2025年6月18日)から第7回(2025年12月15日)までデータマネジメントの実務に精通した有識者をメンバーとした「データマネジメント人材の育成に関するタスクフォース[2]」を開催した。筆者はその主査を務め、人材像の定義や新試験に求められる要件等の策定に尽力した。その成果として、デジタルスキル標準(DSS)に新しいロール-データマネジメント-を6類型目として追加され、2027年夏~秋にはITパスポート試験の次に一般のビジネスパーソンがデジタル・AI時代の基礎的リテラシーとして受験すべき「データマネジメント試験(仮称)」の新設を決定するに至った。

 

 (図表2)デジタルスキル標準(DSS)への「データマネジメント類型の追加」

 

 (図表3)新しい「データマネジメント試験(仮称)」の設置

 紙面の関係上、データマネジメント人材の役割(データエンジニア、データアーキテクト、データスチュワード)や近日公開された新しいデータマネジメント試験(仮称)のシラバス[2]について詳細を解説することは省略するが、日本の企業・組織のAI Ready化に向けた重要なアクションとなる情報のため、是非一読することをお薦めする。なお、政府がデータマネジメントを後押しする政策を本格的に始動したところではあるが、「AIや基盤、ツールなどを導入したらデータマネジメントが社内で実現できる」といった単純な解決策は存在しない。データマネジメントの本質的な課題やその取り組みの上で重要となるポイントを本稿では解説していくこととする。

AI Ready化は、AIツールやシステムを導入するだけでは実現できません。次回は、なぜデータマネジメントが難しいのか、その背景と課題を考えます。

執筆者

大西 浩史

株式会社NTTデータバリュー・エンジニア 代表取締役社長
一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム[JDMC] 発起人 兼 事務局長

【略歴】
1994年4月 
NTTデータ通信株式会社(現:株式会社NTTデータ)に新卒入社。資材・調達部門に配属、ソフト調達・サービス購買にかかわる契約・交渉・オペレーション業務等に従事。

1997年10月 
自ら発案したデータマネジメント事業が社内ベンチャー制度に最年少で合格、新規プロジェクトとして始動。

2001年10月
社内ベンチャーを母体として、大日本印刷、SAPジャパン等を株主としたジョイントベンチャー-(株)リアライズを設立。(現:NTTデータバリュー・エンジニア)
国内大手の自動車/半導体部品/家電/鉄鋼/素材/食品/製薬/化学/文具・家具などの製造業、メガバンク/信託銀行/生損保/クレジットカードなどの金融業、小売・流通/EC業、通信/電力/ガス/交通等の公共インフラ業、メディア/サービス業、官公庁/教育などの公的機関まで、幅広い領域におけるデータマネジメント/データ活用の取り組みを約30年にわたりリードしてきた。

2011年3月~現在 
一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム[JDMC]を発起人として創設。DAMA日本支部の理事。経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「データマネジメント人材の育成に関するタスクフォース」主査を務める。

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